夏になると、思い出すことがある。
あれも同じように、暑い暑い夏の日のことだった。
おばあちゃんが買い物に行くと言うので、
いつものように「わたしもいく!」と追いかけた。
強い日差し。
焼けるようなアスファルト。
おばあちゃんはお店でアイス売り場で立ち止まり、
一緒に食べようと言ってくれた。
滅多におばあちゃんが、アイスを食べようということなんてない。
歯にしみるとか、寒気がするとか言って、あまり食べなかったよね。
私が食べているのを、たまに一口二口味わう程度で。
だから、意外だった。
だけど、嬉しかった。
おばあちゃんと一緒にアイスを食べれるんだなぁって。
私はわかってる。
おばあちゃんが好きなアイスクリーム。
それは、コーンタイプのバニラアイス。
味はわかってたんだよ。
おばあちゃんは、絶対にバニラアイスだって。
バニラアイスなら、何でも同じだと思ってたんだ。
家に帰って、早速二人でおやつの時間。
私が選んであげた、バニラアイス。
おばあちゃんはちょっとなめて言ったんだ。
「甘い。甘すぎる」
それからなんぼも経たないうちに、
甘さの強いアイスを持て余したおばあちゃん。
私に食べていいよって言った。
そのとき、すごく悲しかった。
すごく後悔した。
おばあちゃんに申し訳ないことをしたなって思うと、
たまらない気持ちになったんだ。
もっとちゃんと、選んであげればよかった。
おばあちゃんが好きなメーカーのバニラアイスを、選んであげるんだった。
私のせいで、おばあちゃんは食べたかったアイスを食べられなかった。
私はお財布の中にわずかにあった小銭を握り締めて、お店に急いだ。
翌日のことだった。
昨日よりもアイスの種類が増えている。
きっと入荷したのだろう。
その中から私は選び出した。
下の方に埋まっていた、おばあちゃんが好きなバニラアイス。
溶けてしまわないように急いでお金を払い、走って家に帰った。
息をつく間もなく、おばあちゃんに渡した。
「おばあちゃんの好きなアイス、買ってきた」
おばあちゃんはきょとんという顔をして、私を見た。
「どうしてわざわざ?」そう言わんばかりに。
「ばあちゃんはいいよ。お前が食べなさい」
思った通りの返事。
でもそれじゃダメなんだよ、私が食べちゃ意味がないんだよ。
「おばあちゃんに買ってきたんだもん」
私も引き下がらない。
モタモタしていると、アイスが溶けちゃうよ。
「ありがとうね」
ためらいがちに、受け取ってくれた。
既に柔らかくなった、バニラアイス。
「一緒に食べようね」
そう言って、半分、私にくれた。
全部食べてと言いたかったけれど、頷いて受け取った。
おいしかった。甘かった。でも、さっぱりしていた。
夏になると思い出す。
アイスを買いに行くと、必ず甦る。
暑い夏の思い出。
おばあちゃんの笑顔。